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ニコロ・パガニーニ

19世紀のイタリアが生んだ最高のヴァイオリニスト。「悪魔と契約した」と噂されている。レグバという使い魔がいつも側にいるが、パガニーニしか見ることはできない。元々は好青年であったが、「契約の秘密」を人から隠すうちに、人を遠ざけ、人に避けられるようになってしまう。「演奏中に弦が一本一本切れてゆき、最後にG線だけで弾き終えた」「演奏中に体が宙に浮いている」「教会に拒絶され遺体は60年間も彷徨った」「スコアを燃やしてしまい、現存するものは少ない」「ベルリオーズに2万フランも寄付した」「ギャンブルでヴァイオリンをとられた」「ナポレオンの妹と恋愛関係にあった」など耳を疑いたくなるような逸話が残っている。
 
 

 

ミーシャ

ロシア系のロマ。ジプシーと呼ばれるのは「エジプト人」が語源であることから好まない。本人もヴァイオリンを嗜み、パガニーニの演奏に魅せられる。劇場猫のあだ名通り、どこの劇場でも楽々と侵入して音楽鑑賞をするという特技を持つ。ずけずけとものを言う態度が逆にパガニーニと打ち解ける要因となる。
 

テレーザ・パガニーニ

ニコロ・パガニーニの母親。イタリアのしっかりママ。家族の幸せを第一に考えている。ヴァイオリンが上達すればするほど、引きこもりがちになる息子を心配している。のんびりした雰囲気だが、見る目は鋭く、意外と全ての事を感じ取っている様子。
 

女官

ナポレオン・ボナパルトの妹ルッカ=ピオンビーノ大公妃に仕えている。今回はパガニーニへの伝達役であるが、ナポレオン没落後は、ちゃっかりと実家に戻り新政府運動に参加し、その後ナポレオン3世の時代には再び宮廷女官に返り咲いている・・という裏設定がある。
 
 

 

アルマンド

ニコロ・パガニーニの執事。貧乏な家から上り詰めたパガニーニに社交界のマナーや言葉遣いを指導する役目もはたしており、執事とはいえ先生のような立場でもある。音楽にはかなり詳しい。19世紀の社交界を席巻したパガニーニの執事である事から、フランス語とドイツ語にも堪能であり、女性に対してはイタリア語の「スィニョーラ」ではなく、フランス語の「マダム」を使う。これは当時、上流階級ではフランス語が公用語だったためである。忠実で温和な老人であるが口うるさいところもあり、パガニーニ相手でも説教をするようなところがある。「パロマ一の頑固者」とパガニーニも憎まれ口を叩くが、そのくせ唯一心を許し、色々と語って聞かせていたようである。主であるニコロ・パガニーニの秘密を知る唯一の存在。
 

アムドゥスキアス

音楽を司る悪魔。キリスト教の罪悪の一つである「虚栄心」を好み、音楽家の満たされぬ虚栄心に囁きかける。別名「十字路の悪魔」。初めは紳士のように忍び寄り、商人のように狡猾に誘いかけ、契約を結んだ後は野獣のような恐ろしさを見せる、つかみ所のない魔物。様々な楽器の音を出すことができる。貴族のような優美な振る舞いの中に下品さがあり、コメディアンのような軽妙さの中に恐ろしさがあり、つかみ所のなさの中に危険さを潜ませている。曰く「人は誰でも、一度は私に出合う」
 

アントニオ・パガニーニ

ニコロ・パガニーニの父親。家族思いで、素朴で、強い父親。一時期は真剣に音楽家を目指したが、今では家族と一緒に酒場で演奏することを楽しみにしている。パガニーニの才能に気付き、自分自身が手に入れられなかったものを息子が手に入れられるのであれば、どんなことでもしてやろうと考えている。牧歌的な人物。
 

コスタ

パガニーニのヴァイオリンの先生。温和で飄々とした人物。音楽に関して非常に鋭い感性と洞察力を持っている。パガニーニの類稀な才能を見抜くと共に、「天才にはなれない」という彼の限界にも気づいている。悪魔と契約したパガニーニの演奏を聴いて、最初にその異変を察知した人物。
 

大司教

カトリック教会の聖職者位階司教の範疇に属する聖務職。ようは、担当する地域の一番偉い聖職者。実は日本にもいる。本作では「悪魔と契約した」と噂されるパガニーニの音楽を異端審問する。異端審問はかつて魔女狩りの時にも行われ、魔女だと分かると火あぶりにされたという恐ろしいもの。無論パガニーニの時代に魔女狩りはないが、イタリアはカトリック色がかなり強いので、ここで烙印を押されてしまうと、かなり生活が厳しくなる。
 

ルイ・エクトル・ベルリオーズ

実在したロマン派の作曲家。幻想交響曲が有名。フランス10フラン紙幣に印刷されていた。若き日のパガニーニにどことなく似ている才気溢れる青年。オペラの興行に失敗し、失意のどん底にいる。
 
 

 

レグバ

契約者しか見ることのできない音楽の使い魔の少女。一人の契約者に一人のレグバが遣わされ、契約者が死ぬ時はその魂をアムドゥスキアスの元へ運ぶ。また、契約者に音楽の才能を与える。いつの頃からか孤独なパガニーニの話し相手となる。